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2024年09月04日

クマにあったらどうするか

ノロノロ台風10号は進路地域だけでなく遠隔地にも多大な影響と被害をもたらして去りました。
報道では近年という言葉が使われていますがそもそも自然の御業は人智の及ぶところでは有りませんね。
もっとも人の営みが過度に地球に影響を与えていたならよくよく考えねばならないことで・・・。

奄美大島ではハブの駆除策として特定外来マングースを半世紀ほど前に持ち込んだそうですが、
そのマングースによってアマミノクロウサギなどの在来希少種が被害を受けてしまい、今度は国費を投じて
マングースの根絶に尽力し、今般マングースの根絶を宣言したそうな。
なんでも昼行性のマングースが夜行性のハブの駆除には適さなかったということらしい。
実践して初めて分かるということも有るのでしょうが、なんともはや・・・という思いです。
ヒーローとして迎え入れられたマングースは一転悪役として抹殺駆除の対象になってしまい・・・。

折りしも「クマにあったらどうするか」を読了したところでした。
クマにあったらどうするか


アイヌ民族の狩人が実体験した話を聞書きしたもので、とても読み易いものです。
クマの生態、クマ猟、クマに遭遇した時にどう対処すれば良いのかなどなどとても興味深く面白い内容でした。
クマ猟師からの目線で語られる自然観というか、体感的な話は含蓄があり考えさせられます。
四国ではクマは剣山系でわずかに生存し絶滅危惧種とされ、私自身クマ猟はもちろん、クマに遭遇する場所へは極力出向いていかない気持ちです。
かと言っても、クマの生息地の近くではクマによる被害が続いています。

本書ではクマを中心として書かれていますが、身近な問題、果ては人間社会における人同士のあり様にも思いをはせることができます。
私共の活動に関することとしては、針葉樹ばかりを植樹することによる生態系への影響はやはり考えねばならないことです。
猟師の姉崎さんは「山は死んでいる」とまで言っています。

姉崎さんは
「『クマが怖い』ものだという言葉が怖い」・・・、
「クマは机の上にはいない」・・・、
クマとの共存のあり方については
「なんだか嫌だな」「ちょっと怖いな」と双方が感じ合うことが大事・・・、
そんな風に、机上論ではなく、実際にフィールドワークをしているからこその言葉は本当に貴重なものだと思います。
今年手にした本の中でも特に感銘を受けた一冊。

それにしても、あのマングース根絶発表の記者会見の様子。
根絶プロジェクト達成の高揚感からでしょうか、環境省担当官や関係者の笑顔や拍手を素直には受け止められない思いでした。
人間が暮らすということは自然界にある程度手を突っ込むことは致し方無いことではあるのですが・・・。
S.S


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Posted by いぬのなつ at 12:44│Comments(0)リポート
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