2023年05月29日

梅雨入り

四国地方が例年より幾分か早く梅雨入りしたそう・・・。
毎日の天気予報から目が離せない時候となりました。

一昨日は琴南の森において、午前中は刈り払い機で道路付近の草刈り作業、
午後はチェーンソーを手にして林内整理に励みました。
伐木や枯木などの整理は、木々抱えての移動に斜面を上り下りしてましたので思いの外汗をかきました。

この森の一部では、用材として搬出時期となったヒノキの伐採、集材作業が地元森林組合の手によってなされています。
チェーンソーはもちろんのこと、林業重機などを使っての作業ですね。
年々性能がアップする重機を使っての作業ですが、林業の危険リスクが軽減することはないのでしょうね・・・。

昨日は、梅雨入りする前のプチトレッキングをしました。
目的は、まんのう町の南部、標高約700mの山に存在する国指定史跡「中寺廃寺跡」を散策すること。
主なルートは3パターンありますが、今回は3回目ということで、初ルート江畑道ルートで登山です。
梅雨入り


登山道口から約1.5キロの少々勾配のキツイ登山道を登ると史跡に到着します。
展望所には東屋があり、周辺は適度に伐採がなされており眺望が良いのです。
讃岐の東から西までの領域を見渡すことができます。それだけ当県が小さいという証かもしれませんが。
天気の状態が良ければ遠くは鳥取県の大山まで見えるとか・・・。

中寺廃寺跡は、西暦8世紀後半から11世紀の奈良、平安時代に当地に存在した山寺の跡だそう。
梅雨入り


かつて仏堂や塔のあった仏ゾーン、僧侶が修行や生活の場としていた拝殿や僧房があった祈ゾーン、
そして仏教を信仰する民衆が信仰の儀式として石を組み上げていたという場である願ゾーンがあり、
それらのゾーンが、よく整備された小径でつながっています。
前回、前々回ともに散策中、誰一人とも会いませんでしたが、今回も同じく誰とも会わず終いでした。
野鳥の声、落ち葉を踏む音、木々の葉音、時折遠くの空を飛行する飛行機の音を耳にするばかり。

きれいに管理された史跡は、当時の面影を残すだけで、建造物の再建などはなされていません。
建造物が配されていたであろうその場所を眺め、ただただ往時の様子を脳内に描くのみ。
自然とイマジネーションが浮かんできます。

県下では瀬戸内芸術祭をはじめ、「父母カ浜」、天空の鳥居「高屋神社」、「雲辺寺山頂」等々、観光客誘致、集客に力が注がれています。
その地の多くは以前はいずれも静かで、まさに風光明媚というのにふさわしい場所でした。
インスタ映え、メディアでの過剰なまでの広告、宣伝により今では人の波が押し寄せて、すっかり様変わりしてしまいました。
観光地としての駐車場確保、おしゃれな施設の建造、全国的に画一観のあるモニュメント、ベンチ、ブランコなどの設置・・・。
本質的な価値が損なわれているとしか思えません・・・。

旅行雑誌や名所旧跡の写真を見て、旅先でその当該地に身を置いた時、思い描いた風情とのギャップに大いに落胆してしまうことは
少なくないと思います。どうしてなんでしょうかね。

あるがままのものをあるがままに保全していくということは進歩がないようですが、それはそれで大変で大事なことかと。
そこにあるものに物理的手を加えるというより、文化的、芸術的な要素をスパイスとして適宜加えていくということが良いのではないかと考えます。
箱もの、工作物を造り配することで得られる効果は一過性であったり、やがてはスクラップ&ビルドの道を歩みそうな気がします。
極力現状変更を抑え、人の知恵、行動で継続的にスパイスに変化を持たせていく方が、より人づくり、地域づくりに貢献すんじゃあないかと思えるんですけど。
実際に、砂浜でTシャツを並べたりしているところがありますが、典型的なものかと思います。
最大限に集客を高める、費用対効果を得ようとすると無理や支障が生じますよね、きっと。
身の丈にあったというか、のどから手が出るほどの見返りを期待することを我慢して、あえて利を追求しない考えにシフトすべきかと。

山仕事も昔は斧や鋸で伐木し、木材の搬出・集材は、人力、馬力、河川利用など、知力気力体力共助などに頼るばかり。
農林業共に、機械化、化学科などが進み、省力化、効率化に視線が集まり、手を延ばすことに追われています。
発達、発展の光が大きくなるほど、影が濃くなり、その陰に、本質、真価が取り残されていく気がしてなりません。

中寺廃寺跡は多くの人が足を運ぶような場所になっているようには思えません。
それでも、こうして登山道や史跡が整備されていることはとても素敵なことだと思います。
史跡保存に関する行政の様々な大人の事情もあるのでしょうが、それはともかくとして、こうした場所に、
資本投下、人的措置が継続的になされていることは意義あることだと、史跡の森の中でよくよく考えました。

押し寄せる怒涛の波に対処するにはそれなりのパワー、マネーが必要です。
さざ波でいいかと。寄せては返すさざ波は、見ても聞いても心地いい気がします。人にとって。

S.S


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この記事へのコメント
中寺廃寺跡は一人思いをめぐらすのには、静でいい山懐ですね。ぼくは柞野道がまだ残っています。さて、今年の梅雨入りは思いの他早かった・・・こんな時は屋根のある自前のちょっとした小屋があるといいね。雨の時でもできるイベントも臨機応変に組めるし、なんて思ったりします。確かに話題になりメディアに乗ると本来の良さが薄まり、よほど注意深くやらないと陳腐化の一途で痛しかゆし。誰でも容易にではなく、ちょっとしんどさがいいのかも。TM
Posted by NPO法人フォレスターズかがわNPO法人フォレスターズかがわ at 2023年05月29日 18:45
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