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2023年08月07日

君たちの住みたい家は?

沖縄奄美地方は台風の影響で大変なことになっているらしい・・・。
香川県も次第にその台風の影響下になるかもしれない8月6日。
「危険な暑さ」とアナウンスされる日々の中、丸亀市市民活動センターマルタスで
「夏休みの宿題をやっつけよう!『総ヒノキの家つくり』」というイベントを開催しました。
高知県在住の木育インストラクター、堀田幸生さんを講師に招いての「香川県みどりの学校」です。

間伐されるヒノキの丸太や建築材として使われて余るヒノキの切れ端を使って
子供たちが将来住みたいと思う建物をつくろうというワークショップ。
堀田さんは自然素材や行き場をなくした樹木などを使った環境学習を多く手掛けています。
今回のイベントもそうした堀田さんのアイデアです。

工作イベントの材料には是非とも香川県産ヒノキを使わなくっちゃなんねーだろうと、我が会で建物土台の材料となる
ヒノキの輪切りを調達しました。
ヒノキを伐って、玉切りして、皮をむいて、背割りして、ようやく輪切りとなります・・・。
製材機械を使える当会N氏の奮闘もありましてなんとか土台が用意できました。
君たちの住みたい家は?


さてさてワークショップのイベントは当会M氏がヒノキについてのお話をして、堀田さんにバトンをわたします。
いつもながらの土佐弁で話す堀田さんの軽妙な話術に参加者の皆さんの顔もほころびます。
で、堀田さんから参加者に今回の工作作業についてのミッション指令が発せられます。
「その1,将来自分が住みたいと思う4階建て以上の建物をヒノキの輪切りの土台の上で作ってください」
「その2,ヒノキの端材をどういう風に使ってもいいですが、ドールハウスのように、建物の中は見えるようにしてください」
ミッションの主要部分はこの2点だけです。
即効性ボンドの使い方など細かいアドバイスもレクチャー。
そして、住みたい家をイメージする瞑想タイムの1分間を経て、工作・・・否、建築作業開始です。

床にばら撒かれた大きさ形も様々な材料を手にしながら子供たちは「どんな家にしようか」と悩みだします。
ヒノキの土台の上に手にした、これまたヒノキの材をあれこれ置いては、「・・・・・・・・・・・・・・・」と沈黙が。
となりの保護者の方もどうしたものかと思案の様子・・・。
講師も、スタッフの我々もただただ見守るだけです。
えーっ?こんなことしてちゃ、時間内に建物は完成いないんじゃあないのと不安になってきます。
しばらくするとなんとなくボンドを付けて土台の上に家らしき形状をつくりだします。
やれやれ・・・と思っていると、建物内部に置く、机や椅子、ベッドなんかをつくっているではないですか!
ややっ、あっちでは自動車を作っている少年も・・・。
えっ?えっ?えっ?と、私としては心配が募ってきます。
講師の堀田さんは、場内を回りながら、「ほほう~」「面白いねぇ~」「あっ!これなに?」な~んてにこにこしてるんですよね。
「先生、これで大丈夫ですか?」という疑問をグッと胸に押し込んで、私は事の成り行きを眺めるだけでした。

20分、30分、1時間と時間が経つうちに、子供たちの前には何やら建物らしきものが姿を見せだします・・・。
2階建、3階と階層を重ねている建物には、梯子状や螺旋状の階段が面白げについているんです。
ひし形の木を上手く合わせて丸いヒノキ風呂も出現しています。
四角い建物、円形建物、まるで塔のような建物など、形や様相がまるで違う個性的な建物が建造・・・そう、まさに建造されています。
建築家の丹下健三氏、安藤忠雄氏なんぞなにするものぞ!とばかりに思うような独創性に溢れています。

しかして、タイムアップの時間となり、建物建築作業は終了しました。
平屋建てのままの建物、壁や天井、屋根などが出来ていない建物・・・そうした作品もありますが、それはそれで魅力的に思えました。
作業完了後、それぞれの作品を作製者の子供が自らの言葉で説明し、その魅力を皆の前で発表します。
講師の堀田さんも上手く子供たちの言葉を引き出していきますから、聞いているこちらも「ウン、ウン・・・」とうなづきました。
君たちの住みたい家は?


大人って、なにかミッションを与えられると、「ノルマ達成だ!任務遂行だ!」という心持になり、目標達成を第1に考えがちかと。
今回のイベントだと、先ずは時間内での4階建て建物完成を目指すと思うんですよね。
確かにそうした目標設定、完成へのプロセス構築、行動などの縛りや制限を自分自身で課してしまうんじゃあないのでしょうか。

でも子供はなんだか自由で、講師からのミッションは把握しても、実際の行動は自分自身の思いや考えを優先させているんじゃあないかと。
これって、とても大事なことだと思います。
堀田さんは言います。「4階建ての建物をつくろうって目標はどうでもいいんです。結果として4階建て建物が完成していなくても、子供たちがどう考え、どうしていくかというのが大事なんです。そして出来たものについて自分の言葉でちゃんと表現できること」。
いやいや、今回のイベントは大変いい勉強になりました。堀田さんの思想、思考にはまだまだ学ぶべきことが多そうです。

でもね、イベントに同伴した保護者の方の作品作りへの情熱も見てとれました。
だって、夏休みの宿題をやっつけるという、保護者なりのミッション達成もあったのですから・・・ね。
君たちの住みたい家は?


S.S




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Posted by いぬのなつ at 19:10│Comments(0)リポート
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